長源寺の三十三所観音霊場を訪ねて
桑原ののどかな風景を見ながら長源寺へ。
ここの裏山中腹には、西国三十三所観音霊場が開かれています。西国三十三所は、和歌山県那智勝浦町の那智山青岸渡寺を発願寺、岐阜県揖斐川町の谷汲山華厳寺を結願寺とする三十三か所の観音菩薩を巡拝するものです。桑原の三十三か所観音霊場は、ミニ観音霊場として、里の人々が巡拝したもので、短時間で一回りできます。
仏の里美術館に向かう途中に、双体道祖神がみられます。伊豆地方の道祖神は単体が一般的ですが、函南町には猿田彦神と天宇受売命が男女一対の形で習合した双体道祖神が5基も残っています。双体道祖神は信州などでよく見られます。
三十三所霊場の頂上。登りが続いたので、説明を聞きながらひと休み。
長屋門が残る集落の風景。下級の侍の待機所や、農家の場合は納屋として利用されました。
函南の双体道祖神は、信州のものとは違い、お行儀よく直立不動です。
かんなみ仏の里で仏像を心静かに鑑賞する
最後に、かんなみ仏の里美術館で仏像の鑑賞をしました。
平成24年4月に開館した「仏の里美術館」には、桑原の薬師堂で長い間守られてきた仏像群(全24体)が移されて、火災や自然災害などから守られています。
平安時代のものは、素朴感、粗雑感があり顔が丸顔なのが特徴です。目は、墨で入れられています。鎌倉時代のものは、美術品といえます。顔も平安時代のものより面長で、目には水晶がはめ込まれています。
十二神将立像は、十二支と結びつき、方位や時刻の守護神として信仰されています。かんなみ仏の里には、鎌倉時代、南北朝時代末~室町時代初期ものが十二体揃っています。これは大変貴重なことなのです。
阿弥陀如来及両脇侍像
鎌倉時代初期の慶派の特色が表現されています。
薬師如来坐像
平安時代中期のものと推定されています。